2005年07月22日

黒澤明『生きる』

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「仕事を休んでも誰も困らない」「生きているけど死んでいる」などと言われる男、渡辺という男は、役所の市民課課長であり、30年間無欠勤で仕事をしてきた。早くに妻を亡くし、ひとりで苦労して息子を育てるが、成長して結婚した息子は、最近は年老いた自分の遺産のことばかり気にしている。ある時、渡辺は突然医者から「胃ガン」と宣告される。「胃ガン」とは死を宣告されたと同じである。よほどショックで肩を落とし、自分が何のために生きてきたか、何をしてきたかをとうとうと振り返る。そして、せっかくなら貯めてきたお金をパアっと使おうと遊びにでかけるが、どんなに騒がしい場にいても、やはり死ぬというショックは消えない。ひからびたような役所の職場を離れ、玩具の製造工業に移った女性は言う、「つくるのは楽しいのよ。課長さんも何かつくったらいいわ。」その話を聞いて、自分も何かをつくろう……と思い立つ。そして、誰もが受け身の役所において、ある場所に公園を作ってほしいという市民の要望か ら、自分から主体的に動いて議員や他の課の人を説得し、公園を実現させる。そして、最期その公園でパタリと死ぬ、という話。

 もう、本当に胸が熱くなった。
 「生きる」とは、まさに生を「自ら」全うすることであって、さらに「つくること」=創造することを通じて、より本来的に「生きる」ことができるのだ。裏返せば、それは、役所的な怠惰・受け身姿勢、ルーティーンの意味のない繰り返しへ痛烈な批判でもある。実存的だ。死を意識することによって、より「生」なるものへ、自分自身をより本来的な自分へ「投企」することができる。たぶん、黒澤明はハイデガーと気が合うよ。なんとなく。


posted by かっしー at 03:50| 東京 🌁| Comment(3) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
まさにその通り。無味乾燥な人生より何かを成し遂げようとする方が絶対におもしろい。あまりごちゃごちゃ深く考え込まず目の前の事に無我夢中で没頭してやる事が大事かもね。 ところでいつ艇庫に来るのかな?きみは
Posted by かめ at 2005年07月29日 22:04
かーめちゃん、もう消灯ですよー
Posted by かっしー at 2005年07月30日 00:52
昨日艇庫に行ったのに、カメちゃんに会えなかったわ(泣)
Posted by かっしー at 2005年07月31日 14:15
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