2005年07月28日

映画「気狂いピエロ」(ジャン=リュック=ゴダール)

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 ストーリーはないに等しい。男と女が人を殺して、パリから逃避行する。愛と永遠。死と芸術。鋏で切り取られ、貼り付けられたような、断片的な言葉や映像、絵画。普段映画を見る時にはストーリーを追い求めずにはいられないが、そうしていくとわけがわからない。物語の「筋」はほとんど無視されている。そういうところからの「カタルシス」もない。女が死んだところで、悲しがっている男に感情移入もしない。なぜ男が青くペンキを塗るのかわからない。挙げていったらキリがない。そうだ、そんなことはどうでもいいんだ。とにかく、最後のシーンの海がとても美しい。空と海が融け合う映像は、「永遠」という言葉が重なって、吸い込まれていきそうだった。それだけで、僕は観てよかったと思った。

 女が歌うミュージカルのようなシーンもよかった。この映画、描かれ方がすごく自然なのだ。前後の辻褄は合わない時も多いけれど、そのシーンはなぜか躍動感に満ちている。そう思っていて、ちょっと調べたら、どうやらこの映画は全編シナリオ無し、即興演出で撮られたらしい。なるほど。その全体の構成もいい。明るいシーンもあれば、深刻なシーンもある。その場の空気を重たく定めようとしない感じは快かったし、観ていて全然飽きなかった。

 映画ファンなら避けて通れない、天下のゴダールである。でも、僕はそんなに感動したわけではなかった。むしろ観た後に残る疑問のわだかまりが苦痛ですらあった。といいつつ、忘れた頃に、また観たいと思ってしまうんだろうな。そしてまた思いっきりはぐらかされるんだろう。非日常。逃避。倦怠。死。美。愛。永遠。そんなもののどれかに心惹かれた時にでも。
posted by かっしー at 02:35| 東京 ☁| Comment(3) | TrackBack(2) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
自己レス。
なんか言葉の遣い方がゴダールの断片的な雰囲気そのままだな。ブツ切りというかなんというか。観た直後に書いたからずいぶんと影響が読み取れてしまう……恥ずかしや
Posted by かっしー at 2005年07月28日 02:45
少しも面白くなかったけど 言葉が気持ち良かったかも。また見ようかなと思いつつもめんどくさくて見てない
Posted by 鳩 at 2005年07月29日 19:10
言葉は気持ちいいよね。
脈略があるのかないのか、いろんな言葉が断片的に並べられて、その”秩序のなさ”が開放感にもつながる。

この映画を文句なしに絶賛する人のように、この映画の価値を”わかる”時が来るんだろうか。まぁ別に”わかりたい”とも思わないけれども。
Posted by かっしー at 2005年08月03日 12:52
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