2005年09月10日

郵政民営化とネオリベラリズム

・アメリカの経済専門雑誌『ウォールストリート・ジャーナル』2005年8月8日号の記事に「郵政民営化法案は廃案となったが、これは手取りの時期が少し延びたに過ぎない。ほんの少し待てば、われわれは3兆ドルを手に入れることができる」との記述があった。

・アメリカからの対日要望書(アメリカ大使館のHPからダウンロードできる)に、「郵便保険会社・郵貯銀行の政府保有の株式完全売却」などの日本への要望が具体的に書かれている。

僕は一応、郵政民営化は賛成なんですが、民営化するにしても非常に多くの不安を感じています。郵政民営化は、規制緩和して市場経済の競漕原理に委ねるという新自由主義(ネオリベラリズム)の流れです。それが意味するところは、アメリカ的な自由競争社会の到来です。そしてアメリカのファンドは、上記のように、郵貯の巨大マネーを喉から手が出るほど欲しがっています。郵政民営化が「アメリカの言いなりだ」と言えるかはわかりませんが、少なくとも「アメリカ化」していく一環ではあります。

 先日僕が韓国に行って、韓国人と議論し、また韓国のことを勉強する中で感じたのは、韓国は日本よりもより明白にネオリベラリズムに席巻されているということです。大企業はより成長し、街もどんどん近代的に整備されていく一方で、失業率は上昇、貧富の差は拡大、大都市に集中・農村は過疎化していく。社会階層の固定化は必至。日本で最近よく言われる「勝ち組」「負け組」というのもその流れでしょう。うーん、それってどうなのよ。僕は、機会は平等に与えられて、それなりに自由な社会が良い社会だと思っているので、生まれた家が貧しかったから大学には行けない、みたいな固定化された社会には魅力を感じません。ネオリベラリズムは、あくまで強者の論理で進められている。「勝ち組」に都合がいいように社会が動かされている。そこに強い懸念を感じます。

でもですね、この先の見えない世の中で、たとえば郵政民営化に反対して、そのようなネオリベラリズムの流れに逆らうことに、あまり明るい展望を描けないんですよ。情けないことに。これが僕の消極的賛成の理由です。日本の国益を考えれば、自由化して民間が資産運用した方がいいだろうと(なんとなく)思っています。様々なブロガーの意見・分析を読んでいると、どうやら民営化した方がいいらしいことはわかる。ただ、その巨大マネーを引き受けた民間企業というのが、日本企業なのかどうかはわからないし、日本企業に投資するかもわからない。完全に民間に移行した段階で、外資投資企業に丸ごと買収される危険性も十分にある。投資会社のゴールドマン・サックスは、郵政民営化を意識してか、新しく8000億円の投資ファンドを立ち上げたらしい。むしろそういう危険性はかなり高いのでは……と思うと、かなり怖い。

要は、僕が言いたいのは、僕は諸手を挙げて郵政民営化に賛成するわけではないこと。とりあえず、世界中で起こっているアメリカ化の強い流れには逆らえなそうだ…という諦念と、それとは別のビジョンを自分で描けないもどかしさが猛烈にあること。そういうことです。
posted by かっしー at 04:44| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(2) | 語り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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